8/13(水)。今日は鳥取旅行3日目。鳥取編です。
境港→米子→鳥取
今朝は朝4時に起床です。何故ならば5時35分発の境線の始発に乗らなければならないからです。ホテルから一番近い境線の線路を挟んで向かい側にあるローソンで朝食替わりのおにぎりを買って駅に到着するもまだ駅舎が空いておらずしばらく待つことに。駅舎に明かりが灯るも駅員は不在で交通系ICカードの読み取り機も稼働していないので切符を購入し、境線に乗って昨日と同様に米子へ。米子に6時35分に到着後、いったん改札を出て、実は昨日購入していた鳥取行きの特急券の乗車券で再度入場。しばらく待つと今日私を鳥取まで運んでくれるスーパーまつかぜ2号がホームに進入してきました。


米子から特急電車で移動すること約1時間。終点の鳥取駅に到着。その足ですぐ様改札を出てタイミングよく停車していた循環バス「ループ麒麟獅子」に乗車し、バスに揺られて20分ほどで今回の旅のメインイベントである鳥取砂丘にやってきました。
鳥取砂丘

昨日まで雨だったのでさぞ足場が悪くなっていると思っていましたが実際にはそんなことはなく、水たまりや泥になっているというこようなことはありませんでした。ですが足を踏み入れると若干砂に湿り気があるような感じがしました。地面の形状を見ると砂に角が立つような模様ができています。これのすだれ状の模様のことを砂柱というそうです。砂柱と書くと某大ヒット漫画及びアニメに出てきそうなキャラクターのように見えますがれっきとした自然現象です。
日本海側にはとても高い砂の壁が立ちはだかっています。この壁の上は日本海が一望できる絶景ポイントですが、ここまで登るのに一苦労。やはり昨日の雨がたたってか砂に足が取られやすく一歩一歩がとても重く感じます。今日は砂の上を歩くということで暑い中ブーツを履いてきていたので砂が靴の中に入って気持ちが悪い、ということはなかったのですが、歩を進める度に砂を蹴り上げてしまいズボンが砂まみれになってしまいました。

砂の壁を登った先には海と砂と空そして緑だけの風景。普段アスファルトジャングルの中で生きている自分としては目の前に人工物と思われるものが一切ないととても開放的な気分になります。これは普段抑圧された生活を送っていることの反動ともいうものかもしれません。周囲に人がいなかったら雄たけびを上げてしまいそうなぐらい解き放たれた感じでした。そんな気持ちの中でスマホのカメラをシャッターを切っていたのですが自分が感じていた解放感を表しているような画像はありませんでした。下記はその中の一枚ですが、なんでこのロケーションを選んでしまったのか甚だ疑問です。まぁその時の風景は自分の心の中にしかない、ということでご勘弁を。

砂丘の上まで登ってきたところですっかり満足したのですが、せっかくなのだから海沿いまで行ってみよう、ということで砂の壁を海側へ降りることに。ですが高所は登るよりも降りるほうが大変で、一歩ずつ慎重に踏みしめながら降りていかないとバランスを崩して前のめりに転倒しそうになります。また、登りの時よりも着地の衝撃が強くなるのでより多く砂を巻き上げることになり、ズボンがさらに砂まみれに。やっぱり止めておけばよかったと思いましたが、一度降りてしまったら回れ右して戻るのはもっと大変と思ってそのまま滑るように海沿いまで降りてきました。先ほどの砂の壁の上とは違い、水平線に近い位置で眺める日本海は水平線の向こうまで吸い込まれそうな感じになります。下記はその時に撮影したものですが、レイアウトがなんか旧エヴァ劇場版のラストシーンのような感じで、これは海が赤いとまんまあのシーンみたいになるな、と思いました。

期待していただけあってとても良い体験ができたな、と大満足だったのですがここからまたあの道を辿って戻らなければならないのか、と考えると軽く憂鬱な気分になります。ですがさすがに砂丘で一生を終えるわけにはいかないので怠惰な自分に蹴りを入れて傾斜がきつくない道を選びながらなんとか砂丘の入口に戻ってきました。砂丘にいた時間はおおよそ一時間ぐらいでしたがほとんど歩いていたと思います。足腰を鍛えるにはちょうどよいですが、できれば体調の良い時に行くことをお勧めします。
砂の美術館
鳥取砂丘を後にして次に向かったのは砂の美術館。砂の美術館は世界初の砂像を展示する美術館で、世界中から砂像彫刻家を招いて砂の世界旅行をコンセプトとした展示を定期的にテーマを変えて実施しています。作成された砂像は展示期間限りで、展示が終了すればすべて解体してまた次の砂像に生まれ変わるので、短期間で何度も足を運ばない限りは同じ展示は二度と見ることができないという砂そのものの特性を具現化したような美術館です。

今回私が訪れた際には第16期展示で初めて日本を題材とした展示が開催されていました。海岸の砂遊びでトンネルを掘ったり、城を作ったりすることはあると思いますが、砂と水だけでこれほど大掛かりで精細な表現ができるとは思いませんでした。



特に私が気に入ったのは下記の二点です。まず一点目は出雲大社。展示室を入ってすぐ目の前に展示されているスサノオノミコトとヤマタノオロチの裏に出雲大社の古代の本殿を模した砂像があります。出雲大社の古代の本殿は階段の長さが109メートル、高さが49メートルあったといわれており、そのスケールの壮大さがとてもよく表現されていると思いました。あと、おそらく左上にいるのはイザナギとイザナミですね。一基の砂像の中に日本創世の神話がセンスよく収められていたのが印象的でした。私的には出雲大社の古代本殿を観るとついつい「月には朽ち果てた誰も知らない社があるの。すべてはここから始まりました。」とナレーションしたくなります。

もう一点は展示の最後の方にある戦後から現在を表現した砂像です。この砂像は左側で戦争後の焼け野原から人々が日本を復興していき、そして右側で現在の繁栄にを描写し、さらにそれを子供たちが見ているというものになります。この砂像は左から右の時間軸を戦災に見舞われた子供に俯瞰して見せていることで今はつらいことがあっても明るい未来が待っているという希望を持たせているのと、人が推す手押し車の砂利の中から今日のランドマークが生まれているところからより良い未来を創るのは人間である(その逆も然り)ということを感じました。

砂の美術館は主展示室だけでなく施設内で様々な砂像が展示されています。私が行った時には展望広場では砂の美術館のプロデューサーである茶圓勝彦さんが作成した水木しげるの妖怪をモチーフにした砂像が展示されていました。

主展示室から展望広場へ向かう道すがらには日本の動物をテーマとした小さな砂像がおかれています。私はニホンリス、ニホンモモンガ、ニホントカゲ、アオゲラ、ヤンバルクイナ、ニホンノウサギの6種類を見つけましが、もしかしたら全部は発見できなかったかもしれません。下記はその中で私が一番かわいいとおもったニホンリスの砂像です。

砂の美術館を出た後に砂の美術館横の売店で一休み。砂丘ソフトを食べながら砂の美術館職員の方の砂像の作り方講座を聴きました。ご自身で作成された砂像をもとに砂像の作り方やアプローチの仕方を丁寧に解説されていてとても参考になりました。なお、入口すぐのところにある砂の美術館のサイネージ砂像もその方の作品とのことでした。



あと、番外編として本展示室の中に設置されている砂像のQRコードなのですが、この砂像をQRコードアプリで読み込むと本当に砂の美術館のホームページにアクセスすることができます(さすがに写真越しでは読み込めませんが)。砂像の無限の可能性を感じます。

朝から砂づくしですっかり空腹になったので砂丘会館のレストランで腹ごしらえ。ここでは鳥取和牛のオムライスをいただきました。サクサクのエビフライ二つとふわとろのオムライスがコクのあるデミグラスソースに絡まり大変美味でした。境港、米子と海鮮しか食べていなかったので余計新鮮に感じたということもあるかもしれません。

午前中いっぱい砂丘と美術館を楽しんだのち、ループ麒麟獅子で鳥取城跡に向かいます。
鳥取城跡
日本100名城に名を連ねる鳥取城は16世紀中ごろに山名氏の居城として誕生しました。その後当時織田信長配下だった羽柴秀吉が1580年から81年にかけて鳥取城攻略し、81年には大規模な包囲網を敷いたうえで兵糧攻めを実施。当時城主だった吉川経家の自刃により開城され、秀吉の家臣だった宮部経潤が城主となり天守閣と石垣を整備。その息子の長房は関ケ原の合戦で西軍についたため東軍に攻められて開城。その後関ケ原の戦いでの功績を認められた池田長吉が入り近世城郭に改修され、明治維新まで鳥取藩の居城となります。明治維新後の廃城令により二ノ丸三階櫓が取り壊されしまったため天守閣は現存していませんが、天守台や石垣などは当時のものが残っており、戦国時代から江戸末期までの城郭の変遷を見ることができます。
この城で有名なのは天球丸の巻石垣だと思います。これは天球丸の石垣の崩落を防止する目的で1807年(文化4年)に作られました(現在のものは2012年に復元したもの)。城郭にこういった工法を使うのはめずらしいことですが、巻石垣そのものは江戸時代に河川の護岸や堤防などに利用されており、町人文化が栄えた文化年間では武家の様式美よりもプラグマティックな方法が採用された、ということかもしれません。


二ノ丸から鳥取市中心街を一望することができます。下にある洋館は仁風閣。実写映画版の「るろうに剣心」のロケ地としても有名ですね。仁風閣は2023年から5年間、文化財保存修理工事の為休館となっています。残念。ですがその横にある宝隆院庭園は入場できます。


本当は鳥取城本丸跡や太閤ヶ平まで足を延ばしたかったのですが、午前中の鳥取砂丘で足が棒になってしまったので今回は断念。その代わりに山下ノ丸のふもとにある鳥取県立博物館へ行ってきました。企画展は「とことん昆虫展」。展示の入口で昆虫クイズラリーという紙を渡され、展示を見ながら昆虫クイズ(おとな用とこども用あり)を解くことに。クイズ内に掲載されている昆虫の体の一部の写真がどの昆虫のものかを壁いっぱいにある昆虫の標本の中から探す、という注意力と集中力を酷使するクイズがあり、20分ぐらい標本前にへばりついて該当する昆虫の顔や羽の模様を探しました。※回答欄はネタバレを避けるためにマスキングしています。気になる方はぜひ現地で挑戦してみてください。


昆虫と言えばカブトムシとクワガタ。展示室ではかっこいいカブトムシやクワガタがたくさん展示されており、童心に帰ってキャッキャしながらその流麗なフォルムに見入ってしまいました。


鳥取のグルメ
鳥取と言えば地元のグルメが強いことでも有名です。今回は日帰りの短い滞在でしたが鳥取といえば、ということですなば珈琲とまつやホルモン店に行ってきました。
1.すなば珈琲
2012年島根県にスターバックスコーヒーが出店したことによりスタバがない最後の都道府県となった鳥取県について、当時の鳥取県知事が「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」と発言したことにインスピレーションを得て2014年に開店したのがすなば珈琲。その後2015年にシャミネ鳥取にスターバックスが初出店すると「大ピンチキャンペーン」を展開し、これが話題となりその後鳥取県内で店舗を拡大しています。
私が行ったのは鳥取駅近くにある「”新”鳥取駅前店」。店の入口すぐ前にあるカウンター席に座ったのですが、最初に目に飛び込んできたのが「再大ピンチキャンペーン」記載された大きな看板。どうやらスタバが入っていたシャミネ鳥取のリニューアルオープンに合わせたキャンペーンのようで、「コーヒーショップのレシートを持参された方にサンド・アライアンス珈琲を半額に!」「「コーヒーショップよりもまずかった」と言われた方にはサンド・アライアンス珈琲のお代を一切頂きません!」といった明らかにスタバを意識しているとしか思えない内容でした。私はこういう遊び心のある仕掛けは大好きです。※ちなみにサンド・アライアンス珈琲とは関西万博に出店している砂に関連があるパビリオンと鳥取県との間で「砂の同盟」が結成され、その一員であるヨルダン館の赤い砂と鳥取砂丘の白い砂を焙煎に使用した珈琲のことです。
私はホットコーヒーと甘いものが欲しかったのでアップルパイをいただきました。コーヒーは量が多くてびっくりしました。個人的にはコーヒーは苦みがそれほど強くなくて後味すっきりという風に感じました。


2.まつやホルモン店
すなば珈琲で一息ついて鳥取市内を散策後に向かったのは孤独のグルメでも取り上げられていた「まつやホルモン店」。鳥取駅から歩いて15分ぐらいの場所にあります。ここでは名物のホルモンそば(大)を食べました。大はそば二玉分あるのでかなり食べ応えがあります。メインの具のホルモンは噛めば噛むほど甘味が出てきます。私はホルモンをたれにつけて食べながらそばをいただき、最後に余ったたれとソバを絡めて〆ました。常連のお客様が多いようで店員の方と和やかにお話されていたのが地元の方にとても愛されているんだなぁと感じて印象的でした。

最後に
1日という短い間でしたが鳥取をすっかり満喫し、18時43分発のスーパーまつかぜ11号で米子に戻り、その後境線で拠点の境港に戻ったころには夜21時過ぎ。今日は結局移動だけで4時間を使うという大移動になりましたが、砂丘に城跡にグルメに鳥取市を十二分に楽しむことができました。
明日は美保神社へ行ってきます。今年のゴールデンウイークに出雲大社を参拝しているのでこれで両参り達成です。今から楽しみです。
以上
コメント